クロストリジウム-ディフィシル感染症
クロストリジウム-ディフィシル感染症は、すべての年齢層で見られますが、65歳以上の老人での発生が多いです。また、老人に限らず、免疫機能が低下している人たちでの発生が多いです。他の感染症を治療するために抗生物質を使用することが、クロストリジウム-ディフィシル感染症を誘発する最も主要な要因です。クロストリジウム-ディフィシルは、多くの抗生物質が無効です。抗生物質や抗がん剤等の使用が、人間がもともと持っているクロストリジウム-ディフィシル感染症に対しての防御の仕組み(人間の腸内では、種々の腸内細菌がバランスをとって共存してクロストリジウム-ディフィシルの増殖を抑制している)を弱めます。正常な腸内細菌叢が損なわれて、増殖したクロストリジウム-ディフィシルがA毒素(Toxin A) 、B毒素(Toxin B) などの毒素を産生し、下痢などの症状を発症します。感染した人の便中にクロストリジウム-ディフィシルは出てきます。便中に出てきたクロストリジウム-ディフィシルで汚染された器物や手などを介して、人の口や粘膜に到達して、他の人も感染していく可能性があります。病院・老人施設等において、医療従事者や介護者が、クロストリジウム-ディフィシルで汚染された器物や手などを介して、入院患者・入居者の感染を広げて行く可能性もあります。
クロストリジウム-ディフィシルは、多くは抗生物質の長期使用時に、下痢症・腸炎を起こすことがあります(抗生物質の使用が見られない場合もあります)。下痢症は水様の下痢あるいは泥状便で、発熱、食欲不振、吐き気、腹痛、脱水などが見られることもあります。消化管に偽膜が形成される偽膜性大腸炎を起こすこともあります(偽膜性大腸炎では大腸内視鏡検査により、結腸の部分にほぼ円形に隆起した白色あるいは黄白色の偽膜が認められます)。軽い下痢症状に留まる場合もあれば、重症となり、腸閉塞・消化管穿孔・敗血症を起こしたり、死亡する場合もあります。
治療としては、誘因となっていると思われる抗生物質や抗がん剤等の使用を中止します。抗生物質の中止後2、3 日以内に23%の患者でクロストリジウム-ディフィシル感染症の症状が改善するとされています。中止後2、3 日で下痢等の症状が改善しない場合や重篤な場合は、メトロニダゾール(metronidazole)やバンコマイシン(vancomycin)といったクロストリジウム-ディフィシルに有効な抗生物質による内服治療を行います。バンコマイシンの使用は他の腸内の細菌の耐性を強めてしまう恐れもあるとしてメトロニダゾールの使用を推奨する考え方もあります。
引用元:横浜市衛生研究所:クロストリジウム・ディフィシル感染症について


